労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2025.01.16 【判決日:2023.09.19】
学校法人コングレガシオン・ド・ノートルダム事件(福岡地裁小倉支判令5・9・19) 解雇無効の判決後も復帰できず遠隔地へ異動に 不当な動機疑われ配転無効 NEW
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  • 配転・出向

 解雇無効の判決後も9カ月間にわたり復帰させてもらえず、福岡県から福島県へ転勤を命じられた教員が配転無効と訴えた。福岡地裁小倉支部は、不当な動機、目的が強く疑われるうえ、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負うとして配転を無効とした。敷地内への立入りすら禁じていたことも考慮した。異動に応じる旨の誓約書があり、勤務地限定の合意は否定した……[続きを読む]

2025.01.09 【判決日:2024.01.30】
日本大学事件(東京地判令6・1・30) 契約期間は通算5年まで、非常勤講師を雇止め 採用時から上限示し有効に
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 雇止めされた非常勤講師が、地位確認や賞与等の支給を求めた。採用時や更新時に更新上限を4回と明記された契約書に署名押印していた。東京地裁は、講師規程にも更新上限が定められ、更新を期待する合理的理由はないと判断。賞与については、貢献の相違に応じた支給をしなくても不合理とはいえないとした。職務内容等は専任教員と大きな相違があるとしている。 契……[続きを読む]

2024.12.12 【判決日:2024.03.08】
イオン銀行事件(東京地判令6・3・8) 販促用の洗剤を持ち帰ったら盗んだとクビに!? 窃盗だが懲戒解雇重過ぎる
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  • 懲戒・懲戒解雇
  • 職務外非行

 銀行の副店長が、通勤中に営業開始前の携帯ショップの店頭にあった洗剤を盗んだとして懲戒解雇された事案。販促物として「ご自由にお取りください」と表示されていた。東京地裁は、営業時間外の取得は窃盗罪に該当し得るが、解雇は重過ぎるとした。周囲に犯行が発覚し銀行の信用を失墜させたが、販促物は高価でなく、反省の態度を示し謝罪していることも考慮した。……[続きを読む]

2024.12.05 【判決日:2021.10.20】
日本コーキ事件(東京地判令3・10・20) 溶接技術は期待はずれ、中途採用後1カ月でクビ 試用期間中の解雇が有効に
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  • 労働契約
  • 試用期間

 溶接経験がある技術者を中途採用した機械メーカーが、入社1カ月で期待はずれだったとして試用期間中に解雇した事案。東京地裁は、会社が期待した技術水準に達する見込みがないと判断したことは合理的とした。小規模で即戦力を雇う必要性が高かったとしたうえ、職務経歴書等の内容から即戦力として期待するのが自然だが、本人が作成した数百点の製品は期待と乖離し……[続きを読む]

2024.11.28 【判決日:2023.05.11】
社会福祉法人紫雲会事件(東京高判令5・10・11) 定年後は賞与なし、差別でないとした一審は? 責任異なり不支給を認める
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 定年・再雇用
  • 退職

 定年後の嘱託職員が、期末・勤勉手当の請求を棄却した一審を不服として控訴した事案。東京高裁も、不支給は不合理とはいえないと判断。正規職員とは業務負担と責任に差異があり、手当には正規職員の勤続の奨励も含むうえ、定年時の8割の基本給が支給されていたことを考慮した。不支給は有期雇用を理由としたものではないとした。扶養手当に関する請求も退けている……[続きを読む]

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