労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2024.11.21 【判決日:2024.06.27】
懲戒処分等取消請求事件(最一小判令6・6・27) 飲酒運転して物損事故、退職手当なしは違法か 原審覆し全部不支給を認容 ★ NEW
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  • 賃金
  • 退職金

 飲酒運転や物損事故等を理由に公務員の退職手当を全額不支給とした事案。不支給処分を取り消した一審判断を維持した原審に対し、最高裁は、処分に裁量権の逸脱濫用はないとして取消請求を棄却した。被害は弁償され懲戒歴もなかったが、事故を起こしたまま帰宅し悪質なこと、警察官に虚偽の説明をし不誠実なこと、公務に対する住民の信頼を大きく損なったとしている……[続きを読む]

2024.11.14 【判決日:2024.04.25】
東光高岳事件(東京地判令6・4・25) 定年後に合併、期間満了時の賃金減拒み雇止め 同じ条件で更新期待認めず
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 定年後に継続雇用された者が、吸収合併した親会社からの賃金減額の更新条件を拒否して雇止めされた事案。東京地裁は、更新回数なども踏まえ同一の条件での更新期待を否定した。更新とは直近の労働条件を指すとしたが、親会社の規程に基づき5割減額に同意した者もいるなど、従前の条件は保障されていないとした。合併後の条件変更の可能性を労働者も認識していたと……[続きを読む]

2024.11.07 【判決日:2023.10.26】
勝英自動車学校事件(東京地判令5・10・26) 教習指導の国家資格取って退職、費用返還請求 貸与で「賠償予定」違反せず
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  • 労働契約
  • 賠償予定

 自動車学校が、退職した教習指導員に国家資格の取得費用の返還を求めた。教習指導員は、損害賠償の予定に当たり違法と主張した。東京地裁は、本来本人が費用負担すべきところ費用を貸し付けたもので、資格は転職活動等で有利になるなどとして、貸与を有効とした。資格取得後は手当が支給され借りた金額の回収は容易であり、返還免除に要する3年も長期でないとして……[続きを読む]

2024.10.31 【判決日:2023.05.31】
医療法人社団A事件(東京高判令4・5・31) セクハラで退職者続出、行為繰返す管理職クビ 改善期待できず解雇不可避
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  • セクハラ
  • 女性

 管理職からセクハラを受けたとして事務職員が退職したことから、医療法人が加害者である次長を解雇した事案の控訴審。東京高裁も解雇は社会通念上相当とした。注意指導後も行為は繰り返され、職場環境を著しく害したと判断。セクハラの意図はないという弁明は自覚に欠け、改善の期待は困難とした。他の診療所の事務職員も全員女性で、解雇回避措置としての配転も困……[続きを読む]

2024.10.24 【判決日:2023.04.10】
ホープネット事件(東京地判令5・4・10) 双極性障害で1年半休職して自然退職扱いは? 復職可の主治医診断を否定
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  • 休職
  • 休職の終了・満了

 双極性感情障害の休職期間が満了して退職扱いされた営業職の元従業員が、主治医の診断書に基づき復職可能として地位確認等を求めた。東京地裁は、産業医との面談の内容等から退職扱いを有効とした。生活のリズムが確立されておらず、薬効の強い薬剤を多種類服用していることから、休職前の業務を通常遂行できるほどに回復しておらず、その見込みもないとした。 生……[続きを読む]

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