労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2025.02.20 【判決日:2024.03.27】
JR東海(変形労働時間制)事件(大阪地判令6・3・27) 1カ月変形制の運転士、勤務割に「空白日」が!? 事前特定なくても変形可能 NEW
ジャンル:
  • 労働時間
  • 変形労働時間

 新幹線の運転士が、勤務指定表が一部空白となっているのは1カ月変形労働時間制の要件を満たさないとして、割増賃金等の支払いを求めた。大阪地裁は、運輸交通業の予備勤務者に当たり、あらかじめ勤務割の一部を特定せずとも、週平均40時間を超えない限り変形制を採ることができるとした。年次有給休暇の代替要員として乗務した場合も予備勤務に当たるとした。……[続きを読む]

2025.02.13 【判決日:2024.05.16】
住友生命保険(費用負担)事件(大阪高判令6・5・16) 保険外交員が賃金控除された物品代返還求める 営業費の負担に包括的合意
ジャンル:
  • 支払い5原則

 営業先で配る物品代を負担した職員が、賃金全額払に反するとして争った事案の控訴審。大阪高裁は、一審が否定した印刷費を含め、営業費の負担に包括的に合意したと判断。業務遂行の裁量があり、負担は年収の5%を下回っていたことを考慮して自由意思の効力を認めた。合意には賃金控除の合意を含むとしたうえ、本人が同意できない旨告げるまでの控除を有効とした。……[続きを読む]

2025.02.06 【判決日:2024.10.31】
学校法人羽衣学園事件(最一小判令6・10・31) 介護福祉士養成課程の講師が無期転換権を行使 任期法適用され10年間超必要 ★
ジャンル:
  • 労働契約
  • 労働契約の期間

 5年を超えて勤務した非常勤講師の無期転換を認めた事案の上告審で、最高裁は、介護福祉士の養成課程は研究の側面が乏しいとした原審を覆し、任期法に基づき10年の特例が適用されると判示。無期労働契約の成立を否定した。任期の定めに関して法は大学の判断を尊重していて、特例が適用される教育研究組織の職の意義を殊更厳格に解するのは相当でないとした。 「……[続きを読む]

2025.01.30 【判決日:2024.02.19】
ビーラインロジ事件(東京地判令6・2・19) 定額残業代導入時に同意得て規則変更したが… 不利益の説明不十分で無効
ジャンル:
  • 割増賃金
  • 就業規則の不利益変更
  • 賃金
  • 賃金・賞与

 定額残業代の導入に伴い、新たな労働契約を締結したドライバーが、割増賃金とは認められないとして残業代の支払いを求めた。東京地裁は、会社の説明では時間単価が2割以上減るという不利益を認識できず、「自由な意思」で変更に同意したとはいえないと判断。割増賃金の算定基礎すら把握困難とした。給与規程も改定したが、変更の必要性は認められないとしている。……[続きを読む]

2025.01.23 【判決日:2024.05.13】
AGCグリーンテック事件(東京地判令6・5・13) 一般職が社宅の利用認められず損害賠償求める 女性に不利益与え間接差別
ジャンル:
  • 均等待遇
  • 女性

 一般職の女性が、総合職にのみ社宅制度の利用が認められているのは違法として損害賠償の支払等を求めた。東京地裁は、均等法には抵触しないとしても、法の趣旨に照らして間接差別に該当すると判断。社宅制度は転勤の事実や可能性を問わず総合職であれば適用される実態にあり、事実上女性に相当程度の不利益を与えていることに合理的な理由は認められないとした。……[続きを読む]

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。