労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2025.04.10 【判決日:2024.07.04】
社会福祉法人A事件(東京高判令6・7・4) グループホームで泊まり勤務、割増賃金単価は 夜勤手当のみの合意認めず NEW
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  • 仮眠時間
  • 割増賃金
  • 労働時間
  • 賃金

 グループホームで泊まり勤務する生活支援員が、夜勤手当のみを割増賃金計算の基礎とした一審を不服として控訴した事案。東京高裁は、夜勤について日中と異なる時給が許されないわけでないが、その合意は趣旨や内容が明確な形でされるべきと判示。夜勤の労働時間性を争ってきたことを指摘して、合意がなかったと判断した。夜勤は不活動時間も含めて労働時間とした。……[続きを読む]

2025.04.03 【判決日:2024.09.13】
京王プラザホテル札幌事件(札幌高判令6・9・13) 子の海外挙式で年休、コロナ拡大し拒否される 感染リスクあり時季変更可
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  • 年休

 子の結婚式で海外渡航するため年休を取ることを伝えていた部長が、新型コロナウイルスの感染拡大等を理由に認められず、慰謝料等を求めた事案の控訴審。請求を棄却した一審に対し、二審は休暇前日の時季変更権行使は遅きに失するとして33万円の賠償を命じた。感染リスクが高まることは会社の事業の正常な運営を妨げる事情といえ、時季変更権の要件を満たすとした……[続きを読む]

2025.03.27 【判決日:2024.04.24】
みずほ銀行事件(東京地判令6・4・24)自宅待機解除し出社求めたが拒否され懲戒解雇 約4年半の待機命令違法に
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  • 懲戒・懲戒解雇
  • 業務命令違反

 退職勧奨とともに自宅待機を命じられた行員が、その後の出社命令に応じず懲戒解雇された事案。行員は、退職強要で欠勤には正当な理由があると主張した。東京地裁は、約4年半の待機は退職勧奨が続いていたというべきで不法行為と判断。一方で、業務命令を拒否しても良いことにはならず、段階的処分を踏んだが欠勤を繰り返すなど、改善可能性はなく解雇有効とした。……[続きを読む]

2025.03.20 【判決日:2023.06.22】
日本マクドナルド事件(名古屋高判令5・6・22) 就業規則等で規定せず無効 店舗独自の勤務シフト使い1カ月変形制を運用
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  • 労働時間
  • 変形労働時間

 店長が作成する勤務割は就業規則と同視できるなどとして、会社が1カ月変形制の適用を求めた事案の控訴審。名古屋高裁は、一審同様に変形制を無効とした。就業規則には原則となる4つのシフトのみ規定され、店舗独自の勤務割を就業規則等と解することはできないと判断。各日、各週の時間を特定したうえ、勤務割表の作成手続きや周知方法を定める必要があるとした。……[続きを読む]

2025.03.13 【判決日:2023.06.29】
アメリカン・エアラインズ事件(東京地判令5・6・29) 収益悪化して人員削減必要、60歳で退職扱いは 定年再雇用 解雇法理の適用否定
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  • 定年・再雇用
  • 退職

 航空会社が収益悪化等を理由に定年後再雇用を拒否した事案で、東京地裁は地位確認請求等を退けた。定年退職であり解雇権濫用法理の適用や類推の基礎を欠くとした。定年時でも再雇用の期待に基づき、契約成立の余地はあると認めたが、労働条件が特定されていなかったうえ、就業規則の退職事由に事業縮小等を規定していたことから、再雇用の合理的期待を否定した。……[続きを読む]

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