全日空事件(大阪地判平10・9・30) 「計画年休の日数と時季は各職場で」は有効か 協定要件を満たさずダメ ★
1999.02.08
【判決日:1998.09.30】
「現実的ではない判断」との異論も
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、Y航空会社のスチュワーデスXが、Y会社の長期休暇制度にもとづき、平成6年11月15日、翌平成7年1月4日から同19日までの公休日以外の10日間について年休を指定し、平成6年11月29日承認されたが、その頃、業務に起因して両肢関節炎に罹患し、11月21日から12月13日まで欠勤したため、Y会社は12月2日頃、長期休暇制度の運用要領にもとづき本件長期休暇の承認を取り消したところ、Xが、海外旅行をキャンセルしたことによる損害賠償をY会社に請求した事案である。
ところで、Y会社は組合と公休、年休、夏季特別休暇等を組み合わせて連続16日間を限度として長期休暇を取得できることを内容とする確認事項を締結しており、Y会社大阪空港支店では、右労働協約の運用要領として「長期欠勤者」について取得制限事由を定めるとともに「業務上の都合が生じた場合は不可もしくは時期を変更することがある」旨の定めがなされていた。
Y会社は、Xの本件長期休暇を承認したが、Xが本件疾病により10日間の病気休暇をし、さらに1カ月の病気休暇を取得する見込みとなったので、運用要領に定める長期休暇取得制限事由である長期欠勤者に後発的に該当することとなったとして、これを理由に本件長期休暇の承認を取り消したものである。
判決のポイント
①計画年休とは、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
ジャンル:
平成11年2月8日第2236号13面 掲載