東京焼結金属事件(最三小判平10・4・28) 組合旧執行部役員の配転は不利益取扱いか? 不当労働行為に当たらない ★
1999.03.08
【判決日:1998.04.28】
客観的具体的根拠 十分とはいえない
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
甲会社の川越工場の労働者Aは、工業高校を卒業し技術者として勤務していたが、入社以来組合に所属し、執行委員3期、書記長2期をつとめていた。甲は長期計画に基づく販売体制強化のためAを浜松出張所に配転、さらに、2年後には自宅通勤可能な事業所に戻すというAとの約束から、東京営業所に再配転した。
Aは、この配転、再配転が不当労働行為に該当するとして、埼玉県地方労働委員会に対し救済を申し立てた。
埼玉地労委、中労委は、いずれも労組法7条1号所定の不当労働行為に該当すると認定・判断し、救済命令を発したのに対し、一審(東京地裁)、二審(東京高裁)は、本件命令を取り消した。
本判決は、上告審判決である。
判決のポイント
本件配転および本件再配転がいずれも労働組合法7条1号(労働組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことの故をもって不利益な取扱いをすること)所定の不当労働行為に該当するといえるか。
本件判決は、東京高裁の判決を全面的に認容したものであって、東京高裁は、本件配転および本件再配転が不当労働行為ではないことについて次のように詳細に判示している。…
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平成11年3月8日第2240号13面 掲載