千代田生命事件(東京地判平9・10・28) 成績不良に伴う資格変更および解嘱は合法か 社会通念上相当の範囲なら

1999.03.15 【判決日:1997.10.28】
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使用者側に責あれば解雇権の濫用に

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 XはYに平成4年6月、正規保険営業外務員として雇用された。Yの就業規則によれば、生命保険の販売、保全及び集金に関する業務に従事する営業個人職員は、上位から下位に特別営業主任、営業主任、新任営業主任、営業副主任及び営業主任補と営業職員資格が定められており、これらに応じて賃金等が異なる。それぞれの資格を取得するには、保険の営業成績の達成等の一定の基準を満たす必要があり、また取得した資格を維持するには、一定期間毎に資格維持基準を満たす必要があり、当該基準を達成できない場合には下位の資格に変更される。営業主任の場合、直前6カ月において営業主任以上の資格維持基準は満たさないが下位の営業主任補の資格維持基準を満たす者は営業主任補に任命される(資格が変更される)が、営業主任補の資格維持基準も満たさない場合には、嘱託外務従業員に資格変更され、翌月末に解嘱とすることとなっている。Xは、平成7年10月1日に営業主任に任命されたが、その格付期間が終了する平成8年3月31日までの成績が不良で営業主任補の資格維持基準すら満たさなかったため、Yは平成8年3月22日、就業規則に基づき4月1日をもって嘱託外務従業員に資格変更し、同年4月末日に解嘱とする旨通知した。

 Xは、右資格変更と解嘱は解雇に相当し、右解雇は無効であるとして、Yの正規従業員(営業主任)である地位を有することの確認を求めて本訴を提起した。

判決のポイント

 Yの就業規則が、…

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平成11年3月15日第2241号13面 掲載
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