兵庫県プロパンガス保安協会事件(神戸地決平10・4・28) 業績悪化による業務廃止を理由とする解雇は? 合理性がなく解雇は無効

1999.03.29 【判決日:1998.04.28】
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合理性を否定した“理由”には異論も

筆者:弁護士 井上 克樹

事案の概要

 債務者協会(以下、協会という)は、兵庫県下で、ほぼプロパンガスの保安業務を独占する、本部職員8名、9カ所の保安センター(支所)に支所長9名、調査員81名、事務員9名を有する公益財団法人であるが、平成8年7月29日、保安業務廃止を決定、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」の改正等による競争激化、収支の悪化を予想し平成9年3月31日付をもって、同協会北摂阪神支所に勤務する債権者ら5名を解雇した。

 同人らは、平成7年7月、支所からの配転が問題になった際、労働組合武庫川ユニオンに加入している。本件は、この解雇についての争いである。

決定のポイント

 本件の争点は、次のとおりである。①協会と組合との間には、解雇について、事前協議約款があるが、保安業務の廃止は、これに該当するか。②該当する場合、本件解雇は、事前協議約款に違反して無効か。③保安業務の廃止に合理性があるか。④保安業務の廃止は、債権者らの組合活動を嫌悪した不当労働行為か。

 以上の点について、本件決定は、保安業務の廃止は、事前協議の対象となるとし、しかし、「企業等がその合理化のために業務の一部または全部を廃止することは原則として自由であると解すべきであることに照らすと、債務者が事前協議約款に違反して保安業務を廃止した一事をもって本件解雇が無効とはいえない」とした。

 そして、結論としては、…

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平成11年3月29日第2242号13面 掲載
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