大阪労働衛生センター事件(大阪地判平10・8・31) 労働条件変更のための「変更解約告知」は有効か 立法的な手当てなくダメ
1999.04.05
【判決日:1998.08.31】
個別管理の進む中 有用な法理だが…
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、Y法人が経営するD病院の心療内科の医局員して勤務してきたが、その労働条件は、月・水・金の週3日隔日勤務、昇給は毎年4月と10月の2回、常勤従業員と同じ条件による昇給をする、賞与は常勤従業員と同じ7月及び12月の年2回支給する等というものであった。
Y法人は、平成元年以降赤字を計上したが、経営改善策により、平成4年3月期を底に再建策は軌道に乗りつつあった。このような中にあって、Y法人は、Xのみを特別扱いすることは好ましくないと考え、平成5年頃から、Xに対し従前どおりの賃金等の処遇の維持を求めるのであれば、毎日勤務の常勤に移行すべきこと、あくまで隔日勤務に固執するならば、他のパートタイム従業員と同等の処遇を受け容れるべきことを申し入れ説得に努めた。
しかし、Xは従前の勤務形態及び処遇に固執し、最終的に平成6年2月、Y法人の申し入れを拒否する意思を明らかにした。そこで、Y法人はXを解雇した。
Y法人は、その労働条件変更の申し入れには十分な必要性及び相当性があり、かつ、Xが従前どおりの労働条件に固執したためやむなく解雇したものであるから、右解雇は、変更解約告知としての要件を備えているので有効であると主張した。
判決のポイント
講学上いわゆる変更解約告知といわれるものは、…
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平成11年4月5日第2243号13面 掲載