桐朋学園事件(東京地八王子支判平10・9・7) 24時間勤務警備員の仮眠時間は労働時間か? 割増賃金の請求を認める

1999.04.12 【判決日:1998.09.17】
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算定の分母は仮眠時間含む24時間で

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 原告は、A大学音楽部の警備員として勤務し、平日は午後4時30分から翌朝午前9時30分まで、休日は午前9時30分から翌朝午前9時30分までの2形態の勤務につき、他のほぼ4名の警備員とともに、2名ずつ交替で勤務していた。勤務時間のうち午後11時から翌日午前5時までの6時間は仮眠時間とされ、賃金計算上は、勤務時間に含まれなかった。

 原告は、この仮眠時間は使用者の指揮命令下にある時間であり、労働時間であるとして、仮眠時間の賃金を請求した。

判決のポイント

 労働基準法が規制する労働時間とは労働者が使用者の何らかの拘束下にある時間を前提として、そのうちから休憩時間(労働者が自由に利用できる時間)を除いた実労働時間をいう(同法32条参照)。労働時間は、主に労働者が使用者の指示の下に現実に労務を提供する時間であるが、現実に労務を提供していなくても、労働者が使用者の指揮監督の下にあれば、これは労働者の自由にできる時間とはいえないので、労働時間に含まれるものである。したがって、仮眠時間が労働時間に当たるか否かを検討するに当たっては、これが労働者が自由に利用できる時間であるのか、それとも労働者が使用者の指揮監督下にある時間であるのかを検討することになる。…

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平成11年4月12日第2244号13面 掲載
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