ナショナル・ウエストミンスター銀行事件(東京地決平10・8・17) 特定部門の閉鎖に伴う余剰人員の整理解雇は? 人員整理の必要性なく無効
1999.04.26
【判決日:1998.08.17】
健全経営のための整理解雇には制限
筆者:弁護士 中山 慈夫(経営法曹会議)
事案の概要
外国銀行東京支店に勤務するXは、アジア太平洋地域の輸出入に関する銀行業務部門に属し、管理職であるアシスタント・マネージャーの地位にあったが、経営方針の転換により平成9年2月同部門の閉鎖が発表され、退職勧奨を受けた。
銀行は、Xが引き続き雇用の継続を希望するのであれば、一般事務職しかなく、給与も相応に低下することを申し入れたが、Xは、労働条件の不利益変更については、争う権利を留保しつつ銀行の指揮の下に就労することを通知し、これに応じなかった。
この間、銀行はXの加入する労働組合と団体交渉を行ったが平行線のままで、同年9月30日付でXを整理解雇した。
この係争の仮処分事件で、裁判所はXの整理解雇を無効として地位保全及び賃金仮払いの仮処分決定を出した。本件はその異議審の決定であり、右仮処分決定を認可した。
争点は、①就業規則の解雇事由に整理解雇がない場合、解雇は許されるか、②本件整理解雇に人員整理の必要性があるかの2点である。
決定のポイント
1、銀行は解雇を行使しうるのは本件就業規則に掲げた解雇事由に限られるという趣旨で解雇事由を設けたわけではないと解するのが相当である。従って、就業規則に掲げた解雇事由に該当しない普通解雇も許されるというべきである。…
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平成11年4月26日第2246号13面 掲載