日本コンベンションサービス(大阪高判平10・5・29) 新設した退職金不支給規定の適用と懲戒解雇日 “周知”の事実なく無効
1999.05.03
【判決日:1998.05.29】
支給義務免れようとドロナワ対応
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
日本コンベンションサービス株式会社(以下、会社)の従業員であったAらが、同種の営業を営む新会社の設立を準備し、他の従業員にも新会社への参加を働きかけたことなどから、平成2年7月13日に懲戒解雇されたAらが会社に対して退職金の支給を求めて提訴した。
会社の退職金規程には、従業員が懲戒解雇された場合に退職金を支給しない旨を定めた除外規定は存在しなかった。このため会社は、平成2年7月18日、退職給与規程ぞ改訂した旨の同年7月3日付の就業規則変更届を所轄の天満労働基準監督署長に提出した。新規程10条1項には「懲戒解雇により退職となる場合には、退職一時金の全部または一部を支給しないことがある」との定めがある。
第一審(大阪地判平8・12・25)は、「新会社設立のために他の社員に移籍を勧誘したり、会社の書類の持出しは懲戒解雇事由に該当するとしたが、退職金不支給条項が有効に新設されたとはいえず、重大な背信行為とまではいえないとして、退職金不支給とすることはできない」としながら、Aについては「重大な背信行為であるとして退職金不支給もやむをえない」として会社の権利濫用の主張を認容した。
本判決は、第二審である。
判決のポイント
1、本件不支給規定の効力と本件への適用について
新規程による退職金不支給の定めは、…
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平成11年5月3日第2247号13面 掲載