コンピューター・メンテナンス・サービス事件(東京地判平10・12・7) セクハラ行為を理由とする懲戒解雇は有効か? 懲戒解雇を正当と認める
事情聴取は記録し署名捺印し証拠に
筆者:弁護士 井上 克樹
事案の概要
本件は、コンピューターの管理及び保守等の請負を主たる業務とする会社の従業員Aが、コンピューター管理業務のために派遣されていた顧客の会社の女性従業員Bに次のようなセクシュアルハラスメント(以下、セクハラという)行為を行ったため懲戒解雇されたが、当該従業員はセクハラ行為を否認、懲戒盤雇を争った事案である。しかし、判決では、セクハラ行為が認定され、懲戒解雇が有効とされている。
①平成7年末頃から、残業時にBの肩を揉みながら、Bの体の前に手を持ってきたり、ブラジャーに手をかけるような行為をした、②平成8年3月中旬頃、エレベーターに乗り込もうとした際、追いかけてきて同じエレベーターに乗り込み、抱きつきながら胸を触った、③平成8年4月中旬頃、原告に抱きついた。
判決のポイント
判決によると、原告の言い分は「①について、Bの肩を揉んだことはあり、結果として手がブラジャーにかかったこともあるが、他の同僚に対しても男女を問わず、しばしば肩を揉んでおり、Bからも嫌がられたことはないし、Bの体の前に手を持っていったことはない。②について、Bが帰宅すると言うので、エレベーターから降りようとしたBに対し、食事に付き合って欲しいという意味合いで、「まだいいじゃないか」と言いながらBの腕を引っ張っただけであり抱きついたりしたことはない。③について、残業をしていて最後に事務室に残った原告とBが帰宅しようとして事務室を出る際、電気のスイッチを切って出口に向かってきたBとぶつかって、結果として叫んだBに原告は抱きついたようになり、そのまま出ロまで引きずられるような姿勢になったことはあるというものである。…
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