産業工学研究所事件(大阪地判平10・10・30) 使用人兼務取締役の使用人部分の退職金は? 退職金規定が適用される

1999.06.21 【判決日:1998.10.30】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

取締役就任時に退職金を支給が無難

筆者:弁護士 中山 慈夫(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、使用人兼務取締役の使用人部分に関する退職金の争いである。

 Xは昭和55年8月会社に雇用され、その後、営業部長の職についたが、会社からの要請で平成3年より取締役を兼務するようになった。Xは、取締役に就任したことにより、年俸が増加するなどの待遇の違いはあったものの、従前どおり営業部長としての職務も担当し、勤務時間や有給休暇の適用も受け、会社からは、利益処分である取締役報酬としてではなく、経費として処理される賃金としての給与支給を受けていた。Xは平成8年に自己都合により会社を退職し、会社からは取締役としての退職慰労金と使用人としての退職金の双方が支給されたが、後者の使用人としての退職金は取締役に就任した以後の勤務年数を除外して計算されていた。しかし、従業員の退職金規定には右勤務年数を除外する定めがないことから、Xは取締役就任後の勤務年数も加算して計算した退職金額が支給されるべきであると主張して、その差額の一部である約660万円の支払い等を請求した事件である。

 これに対し、会社は取締役を兼務する従業員という地位はあり得ず、役員就任時に従業員としての地位は喪失したこと、平成8年に制定した役員の退職慰労金支給規定でもそのことを確認していると主張した。

判決のポイント

 1 従業員の退職金規定は、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成11年6月21日第2253号13面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。