フットワークエクスプレス事件(大津地判平10・11・17) 転勤命令を拒否したトラック運転者を懲戒解雇 配転の必要性欠き無効
1999.07.05
【判決日:1998.11.17】
可能性皆無でない特約付の事後改廃
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、大津市内に居住し、被告の大津店で貨物集配業務に従事していたトラック運転手の原告が、和歌山市内にある阪和支店への転勤命令を拒否したため、平成9年2月25日付で懲戒解雇を受けたが、この懲戒解雇は不当労働行為、権利の濫用等により無効であると主張して、雇用契約の存在を争う被告に対し、その存在の確認及び同年3月以降の賃金と一時金の支払いを求めた事案である。
判決のポイント
1、本件において当初、原告と被告との間で転勤に関する合意はない。
しかし、原告が採用された年に就業規則によって、業務の必要により、従業員に転勤又は勤務替え及び会社外への業務をさせるため出向させることがあること及び転勤を命ぜられた者の引継と赴任手続が定められたこと、昭和63年の就業規則において同趣旨の条項に加えて新しく社員をブロック社員とその他に区分けし、ブロック社員は勤務地をブロック内の店所に限定され、原告は関西ブロック社員に該当し、同ブロック内に阪和支店が含まれること、被告は右各改正の際、点呼時の説明や提示により改正内容の周知徹底を図ったこと等が認められる。そして、右各就業規則の改正が労働者の不利益に変更されたとか、又は変更の合理性がないものと認めるに足りる特別の事情は窺えない。…
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平成11年7月5日第2255号13面 掲載