学校法人藍野学院事件(大阪地決平11・1・25) グループ企業への在籍出向拒否に解雇処分 明確な規定なく無効の判断
1999.07.26
【判決日:1999.01.25】
配転規定は出向の根拠とはならない
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、Yの設置する医療技術専門学校、短期大学などで事務職員として勤務してきたXが、Yの設置するグループ企業である病院への在籍出向を命ぜられたところ、Xがこの出向命令に従わなかったため、就業規則の解雇事由(性行が勤務に適格でなく改善の見込みがないとき)に該当するとして解雇された事案である。
本件の争点は、①Yの就業規則の休職規定に休職事由の一つとして出向を規定している場合、これが出向義務を定めたものといえるか、②Yの就業規則に業務の必要により、職場又は職種の転換を命ずることがあり職員は正当な理由なくこれを拒んではならない旨の規定は、出向命令の根拠規定となるか、③XとYとの間において、Yの労働者はYのグループ企業である病院に出向するという慣行が成立していたか否か、である。
決定のポイント
争点①について。出向を命ずるには、労働者の承諾その他これを法律上正当付ける特段の根拠が必要であるところ、就業規則に出向義務を明確に定めた条項がある場合は、右特段の根拠にあたり、使用者は出向命令権を有すると解すべきであるが、…
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平成11年7月26日第2258号13面 掲載