東急バス事件(東京地判平10・10・29) 制帽を着用せずに乗務したバス運転者を譴責処分 就業規則の合理性認める
1999.08.02
【判決日:1998.10.29】
注意し遵守を指示 違反者には処分を
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、一般乗合旅客自動車運送事業を営むバス会社にバス運転士として勤務する労働者である原告5名が、制帽を着用せずに乗務したことが就業規則等に違反するとして会社から懲戒処分を受けたことについて、制帽を着用して乗務することを義務付けた就業規則等の規定は合理性を欠き、仮にそうでないとしても右懲戒処分は懲戒権の濫用に当たるなどと主張して、右懲戒処分の無効確認を求めた事案である。
判決のポイント
企業は、その存立と事業の円滑な運営のために必要不可欠な企業秩序を維持確保するため、これに必要な諸事項を規則をもって一般的に定めることができ、労働者は、労働契約を締結して企業に雇用されることによって、企業に対し、労務提供義務を負うとともに、これに付随して、企業秩序遵守義務を負うものである(最高裁第三小法廷判決昭52・12・13…参照)。したがって、企業は、その事業の内容、性質等に応じて、事業の円滑な運営のために必要不可欠な企業秩序を維持確保するため、それが合理的なものである限りにおいて、労働者の服装についても規則を定め、労働者に対してその遵守を求めることができるものである。…
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平成11年8月2日第2259号13面 掲載