高栄建設事件(東京地判平10・11・16) 現場への往復途中での器材の積卸し、通勤扱いは 労働時間とはいえない

1999.08.30 【判決日:1998.11.16】
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法解釈上微妙な問題含み今後に注目

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、平成4年5月に会社(上下水道工事の設計及び請負)に雇用され、平成9年5月に退職したXが、平成7年1月から平成9年4月までの時間外割増賃金を訴求した事案である。

 会社で就労する従業員は全員会社の寮からバスに乗って現場まで行き、水道本管埋設工事等の作業終了後バスで寮に帰っていた。バスの数は工事現場によって異なるが、そのうち1台が資材置場に寄って当日必要な材料保安器などを揃え、帰途、右の資材置場に寄って後片付けをして帰るということになっていた。従業員の出勤状況や時間外勤務時間数は、それぞれが所属する班の誰かが出勤簿と題する書面に毎日記載し、会社はこれに基づいて従業員の出勤状況や時間外勤務時間数を把握していた。

 Xの請求の中には、寮から資材置場に寄って材料等を揃えて作業現場に行くまでの時間と、帰途の後片付けを行った後帰寮するまでの時間を含む通勤時間が含まれており、その労働時間性が争点となった。

判決のポイント

 寮から作業現場までの往復時間が労働時間にあたるか。本判決は、次の様に判示して、その労働時間性を否定した。

 「Xが会社で就労中に従事していた業務の内容に照らせば、Xと会社との間で締結した雇用契約は、Xは会社が指示する工事現場において水道本管埋設工事及びこれに付随する工事に従事し、会社はこの労務に対し賃金を支払うというものであるから、…

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平成11年8月30日第2262号13面 掲載
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