ゴールドマン・サックス・ジャパン・リミテッド事件(東京地判平10・12・25) 勤務態度不良理由の普通解雇に地位確認の訴え 反省なく解雇やむなし

1999.09.20 【判決日:1998.12.25】
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文書注意、警告書の送付が決め手に

筆者:弁護士 井上 克樹

事案の概要

 本件は、指示・依頼に対する対応が不適切であること等が、被告会社就業規則の「勤務成績または勤務状況が不良でかつ改善の見込みが乏しいかもしくは他人の就業に支障を及ぼす等現職または他の職務に適さないと認められた場合」に該当するとして、普通解雇された人事部員である原告が、解雇事由はない、仮にあったとしても解雇権の濫用であり解雇は無効であるとして、被告会社に対し、労働契約上の地位の確認並びに給与、賞与及び不当解雇による慰謝料の各支払いを求めた事案である。

判決のポイント

 判決は、被告会社が解雇事由として挙げた点につき、1つずつ認定を行っているが、結論としては「解雇事由の存在を基礎付ける個々の事実についての判断は、前記1のとおりである。これによれば、証拠が不十分で認定できない事実、原告の勤務成績または勤務状況の不良を示すとまで認められない事実も一部にある。また、認定できる事実も個々的には解雇に値するほど重要な事実であるとはいえない。しかし、認定できる事実は、人事部員として慎重に扱うべき秘密情報等の不適切な取扱い(秘密情報の不用意な伝達、ファイル保管の不適切等)、指示・依頼を受けた事項に対する不適切な対応(取決め違反、間違った回答、回答の遅滞等)、職務上のミスの頻度の高さ(入力ミス等)、遅刻、対人関係のトラブル(上司に対する抗議、同僚への迷惑等)等多岐にわたり、短期間の割に数も多い。…

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平成11年9月20日第2265号13面 掲載
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