JR東日本高崎車掌区年休事件(前橋地高崎支判平11・3・11) 夏季繁忙期の年休申請に時季変更権を行使 「正常な運営に支障」認める

1999.09.27 【判決日:1999.03.11】
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請求理由、消化状況等も判断材料に

筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)

事案の概要

 Y会社の高崎車掌区に所属する車掌Xは、平成3年6月1日に、同年7月23日から26日までの4日間について、取得目的を海水浴と記して年休の申請をした。7月は、Y会社の繁忙期であり、臨時列車も多く年休申請者に対する年休付与は困難な状況にあったが、高崎車掌区においては、様々な代替要員確保の努力をした結果、7月23日については、年休申請者31名に対し10名に、7月24日については、年休申請者25名に対し6名に年休が付与できるようになったが、これが限度であった。

 当初の乗務交番表案では、Xは右両日の年休付与者に含まれていた。しかし、首席助役(交番表の承認権者)は、右交番表の中に、組合主催のサマーキャンプの実行副委員長であり、右両日に年休を申請していたKに年休が付与されていなかったため、Kに両日年休を付与するのが妥当と考えた。しかし、両日の年休付与者にKを加えるのは困難であることから、年休付与者とされていた者の内の1名について、時季変更権を行使することを検討した。

 その結果、Xを除く者については、通院とか前後の勤務の状況を考えると年休を付与するのが相当な状況にあると判断されたところ、Xの年休申請理由が海水浴であり、またXは、6月に4日間、7月にも既に3日間の年休を消化していたが、Kは6月及び7月にも年休を取得していないことなどを考え、首席助役は、Xの年休申請よりもKの年休申請を優先させるべきと考えた。そこで、首席助役は、Xに対し、7月18日、7月23日及び24日の両日の年休は不承認とする旨を伝えた。

 これに対し、Xは、右両日に年休が入らないのであれば他日を指定するように求めたが、首席助役は他日指定は行わない旨述べた。しかしXは、出勤するようにとの命令に拘わらず出勤しなかった。そこでY会社は、Xに対し一業務命令違反等を理由に戒告処分を行った。

判決のポイント

 ①年次有給休暇は、…

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平成11年9月27日第2266号13面 掲載
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