Y社事件(大阪地決平11・3・12) 運送業務中に事故を起こした運転者を解雇 安全配慮義務不十分で無効

1999.10.11 【判決日:1999.03.12】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

専ら従業員の故意過失に限定される

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 貨物自動車運送業を営んでいるY社の九州営業所に勤務、野菜等の荷物を市場等に運送する業務に従事していたXは、平成10年10月21日午前5時35分ころ、Y社の営業用車両である大型貨物自動車を運転中に東大阪市内の国道308号線において、道路上の中央分離帯に衝突する事故を起こし、事故現場から救急車で搬送され、頭部外傷、両下肢麻痺等により同日から同年11月11日まで入院した。また、右車両は、右事故により大破し、廃車処分にされた。

 そこで、Y社はXに対し、同年11月18日、解雇する旨の意思表示をしたが、Xは、右解雇処分は解雇権の濫用であるとして、裁判所に対し賃金の仮払いなどを求める仮処分命令を申し立てた。

決定のポイント

 自動車運送事業において、経営秩序を維持するために、交通事故を惹起した従業員たる運転手らに対し制裁として不利益を課し、当該従業員または他の従業員に対する戒めとする必要がある場合でも、懲戒処分をなしうるのは、交通事故が専ら従業員の故意、過失によるなど従業員の責めに帰すべき事由に起因する場合に限定され、労働契約関係に伴う信義誠実の原則から要請される労使双方の義務の履行状況、すなわち、従業員側において自動車運行上誠実義務、注意義務を尽くしたかどうか、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成11年10月11日第2268号13面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。