ミック事件(大阪地決平11・1・12) クレーン運転手から一般作業職への職務変更は 必要性欠き人事権の濫用

1999.12.20 【判決日:1999.01.12】
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負う不利益も甘受すべき程度超える

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 会社(株式会社ミック)はクレーン運転手Aが、担当車両の日常点検を怠ったことにより、車両破損事故を起こし会社に損害を与えたうえ、事故報告も怠ったため、就業規則に従いAを平成10年4月21日から出勤停止1週間の懲戒処分に付すとともに、同月30日から、オペレーターの適格性に欠けるとして、一般作業職に職務変更した。

 これに対して、Aは、本件職務変更は、合理性、公平を欠き、Aの組合活動(平成5年10月からの全日本運輸一般労働組合北大阪支部ミック分会副分会長あるいは分会長としての組合活動)を理由として不利益な取り扱いをするもの(不当労働行為)でもあるから、その効力を有しない。また、本件職務変更は、懲戒処分として通知されており、就業規則に規定のない種類の懲戒処分、かつ一部既に処分ずみであった懲戒事由を二度処分する懲戒処分であるから、この点からも効力を有し得ないと主張して、本件仮処分申請(クレーン運転手の地位にあること等)をした。

決定のポイント

 会社において懲戒処分と職務変更(クレーン運転手から一般作業員への職務変更)とが厳然と区別されていたのかは疑義があるが、会社が主張するように本件職務変更が懲戒処分ではなく純然たる職務変更であったとしても、本件職務変更は、従業員の適正な配置を全体的に見直したというようなものではないし、勿論Aの一般作業員としての適性を評価したというようなものでもない。また、Aは、会社に雇用された当初からの…

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平成11年12月20日第2277号13面 掲載
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