日証事件(大阪地判平11・1・29) 再建理由に全員を解雇した後で一部を再雇用 整理解雇に当たり権利濫用
1999.12.27
【判決日:1999.01.29】
要件か判断要素か整理解雇の4条件
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
金融業を営む会社Yは和議の申立をして再建を図ることを理由として、全従業員に対して解雇する旨の通知を行い、その後一部従業員を再雇用した。Y職員組合の幹部であったXは、本件解雇(第一解雇)を無効であるとして、Xらの地位保全等の仮処分を求める申立を行い、裁判所はこれを認める決定をした(大阪地決平7・7・27)。しかし、この決定を受けてYは、Xらを再度解雇(第二解雇)する旨の通知を行ったため、Xが本訴に及んだものである。
判決のポイント
1、本件の第一解雇及び第二解雇は、実質的に見て、いわゆる整理解雇に相当する。整理解雇は、従業員に何らの帰責事由がないにもかかわらず、使用側の事情によって、一方的に従業員たる地位を失わせるものであるから、使用者が整理解雇をするに当たっては、労使間の信義誠実の原則に従って解雇権を行使すべきことが強く要請され、使用者の解雇権の行使が労使間の信義に反した結果、社会通念上相当なものとして是認できないときは、当該解雇の意思表示は、権利濫用として無効になるというべきである。
そして、当該解雇の意思表示が権利濫用となるか否かは、主として以下の観点を総合的に考察して判断すべきである。第一に、人員削減の必要性が存すること、第二に、希望退職者の募集等使用者が…
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平成11年12月27日第2278号13面 掲載