日本貨物検数協会事件(名古屋地判令2・7・20) 「違法な偽装請負」で派遣先へ直接雇用申し込む 法の適用免れる目的と認定
港湾貨物を確認する検数業務を請け負っていた会社の労働者らが、違法な偽装請負であるとして派遣先に直接雇用を求めた。名古屋地裁は、偽装請負の状態は約10年間に及ぶなど客観的な事情から、派遣法等の適用を免れるための脱法目的と認定。派遣可能期間を超えて熟練労働者を派遣していた。なお、偽装請負の解消から1年以上経過しており、みなしの効力は認めなかった。
客観的事情を重視 約10年も派遣継続
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、Zの従業員であるXらが、Yは派遣法(平成24年法律第27号による改正前の派遣法。以下、上記改正の前後を通じて「派遣法」という)および労働基準法等の適用を免れる目的(以下「適用潜脱目的」)で、かねてよりZとの間で業務委託の名目で契約を締結し(いわゆる偽装請負)、派遣法26条1項各号に掲げる事項を定めずにXらによる労働者派遣の役務の提供を受けていたから、派遣法40条の6第1項5号に基づき、同条施行の平成27年10月1日以降、Xらに労働契約の申込みをしたものとみなされ、Xらもこれを承諾する意思表示をしたと主張して、Yに対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めた事案である。
Yは、Zとの間で、Y名古屋支部が行う検数業務に関連して業務委託契約を締結し、複数回更新したが、平成28年1月29日、Zを派遣元、同支部を派遣先とする労働者派遣基本契約を締結した。Yは、Zとの間で、始期を同年4月1日とした労働者派遣個別契約を締結した。
Xらは、平成27年10月1日以降業務に従事しているところ、業務に関する指示は概ねYの従業員が行っていた。YはXらに対し、Yの制服のほかY名義で発行する身分証明書等を交付し、その着用・携行を義務付けていた。このような状況は、平成28年4月1日の前後で変化はない。
XらはYに対し、平成29年10月31日付書面で派遣法40条の6第1項に基づくみなし申込みを承諾する旨の意思表示をした。
判決のポイント
本判決は、Yは、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら