東灘郵便局事件(神戸地判平9・5・20) 年休の申請方式を就第規則で定めるのは? 労基法39条に反せず有効
時季指定が著しく困難とはならない
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Yの就業規則では、年休を付与する方法として計画付与と自由付与の2種類がある旨定め、自由付与の請求手続きとして、①自由付与にかかる年休を請求する場合には、所属長に対し、その希望する日の前日の正午までに請求書を提出すること、②病気、災害その他やむを得ない事由によって、あらかじめ休暇を請求することが困難であったことを所属長が認めたときは、その勤務しなかった日から、週休日及び祝日を除き、遅くとも3日以内に、その事由を付して請求書を提出する、ただし、この期間中に休暇を請求することができない正当な事由があったと所属長が認めたときは、右の期間を越えて請求書を提出することと定められている。
Yの職員Xは、午後6時15分ころ電話にて上司のAに翌日を年休としたいと申し出た。そして、Xは、翌日午前11時10分ころに電話したが、所属長のBは、年休の承認はできないのですぐに出勤するようにと命じたが、Xは、同日、出勤しなかった。そのため、Yは、右の欠勤日に相当する賃金の9056円を翌月16日に支給したXの給料から減額したが、Xは、これを不服として右減額分の支払いを求めて提訴した。
判決のポイント
労働者は、労基法39条1項、2項の要件を充足することによって当然に年休を取得する権利を有しており、使用者が同条4項の時季変更権を行使できる場合以外は、同項に定められている時季指定権を行使することによって年体を取得する。右時季指定権の行使の時期、方法について、同項には特に定められていないが、Yにおいては、…
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