セメダイン事件(東京地労委命令平8・5・28) 「管理職組合」からの団交申し入れを拒否 救済申立の適格を認める ★
会社の利益代表者含まないが大前提
筆者:弁護士 開原 真弓(経営法曹会議)
事案の概要
本件の申立人CSUフォーラム(以下「フォーラム」)は、平成3年6月に、セメダイン株式会社(被申立人、以下「会社」)における課長以上次長以下の管理職にある数名の従業員が、管理職定年制の実施により弱い立場に置かれつつあることから、管理職の権利・雇用・地位を守るため、労働組合を結成する必要があるとして、結成された。その規約では、「会社の管理職で組織する。ただし、使用者の利益を代表する者は含めないものとする」と定めていた。
フォーラムは、平成3年6月26日、会社の人事部長と労務課長に対して、「労働組合結成通告書と「規約案」を手交した。この結成通告書には役員4名の氏名と役職が記載されていたが、その他の組合員の氏名は記載されていなかった。
フォーラムは、平成5年6月8日、担当職の処遇改善と担当職に対する手当の創設等具体的労働条件の改善を求める団体交渉申入書を手交した。会社側は、労働組合としての適格性がないこと等を理由に交渉に応じなかった。
フォーラムは、会社に団体交渉を拒否されたことを不当労働行為として、東京都地方労働委員会に救済の申立てをなした。
命令のポイント
一、①本件フォーラムの結成は、「管理職の権利・雇用・地位を守ること」等、労働条件の維持・改善を目的としている。②フォーラムが事前に結成大会を開催して、役員を選出し、議長と事務局長が、会社の部長と次長に面会して、役員4名の氏名を記載した「労働組合結成通告」と「規約案」を手交している以上、…
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