豊田通商事件(名古屋地判平9・7・16) 精神疾患によるとみられる非違行為で解雇 軽度の疾患で処分は有効

1998.08.03 【判決日:1997.07.16】
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提訴恐れず早めの決断こそ好結果に

筆者:弁護士 安西 愈

事案の概要

 原告は、いわゆる総合商社である被告の電算部に勤務していたが、精神的な問題をうかがわせるような行動があったことから上司に精神科の受診を勧められへA病院に通院した。

 被告は電算部を独立させて、所属社員の大部分を出向させたが、原告については総務部付とする業務命令を出した。原告はこれに従わず従前の勤務場所で勤務し続け、被告が会議室に改装するため原告に移動するよう命じたのにも従わず、改装関係者3名に傷害を負わせた。

 原告は東京のB病院精神科に入院、入院時の診断は精神分裂病の疑いであったが、確定診断は、妄想性人格障害又は人格変化と単純型分裂病であった。その後も問題行動を起こし警察から警告を受けたりしたので、親族は原告をA病院に入院させた。被告は、同病院からの昼間は被告に通勤し夜間は病院で過こすナイトホスピタルの実施要請を受け入れた。原告は退院後は通院治療を受けながら通常業務についた。

 しかし退院後も原告は、無銭飲食、業務命令違反、上司への暴行、業務妨害、物品持出などをしたうえ、上司が子会社の常務と面談中の室内で自分の湯飲み茶碗を窓ガラスに投げつけるなどの行為をした。そこで被告では原告に、「当分の間、自宅謹慎を命ずる」旨の業務命令を発したが、原告はこれに従わずに出社し、出社しても男子用トイレに篭るなどしたため、本件解雇に及んだというものである。

判決のポイント

 1、本件行為は原告の精神疾患によって惹起された可能性があり、病気の症状の一つと考えられるべきものであるので、それらは、およそ懲戒処分の対象にはなり得ないか。…

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平成10年8月3日第2211号12面 掲載
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