三洋電機(住道工場)事件(大阪地判平9・12・22) 正社員の定年より早い準社員の雇止めの効力? 年齢制限を有効と認める
性質異にし高齢法適用対象ではない
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告2名は、昭和54年と55年に被告会社に契約期間を2カ月とする臨時社員として雇用され、昭和58年と59年に契約期間1年の定勤社員となり、昭和63年に定勤社員制度の廃止により準社員となり、1年毎に契約を更新してきた。
会社は、原告らに対して、準社員就業規則17条1項ただし書「別に定める一定年齢に到達する場合には契約更新は行わない」との規定(満57歳とする旨の労使確認がある。正社員の定年は60歳である)に基づいて、平成7年3月をもって契約は終了し、契約を更新しない旨を通告したため、原告らは、雇止めの無効を主張して、従業員としての地位の確認を求める訴えを提起した。
判決のポイント
満57歳をもって同規則にいう「一定年齢」とする取り扱いは、長年にわたり定勤社員及び準社員の間において「定年」などと俗称されて当然の慣行として行き渡っていたものであり、本件が問題化するまでは特に誰もそのことについて異論を差し挟むことはなく、労使間の規範意識に支えられていたということができ、したがって右制限年齢に関する取り扱いは一種の法的規範性を有する労働慣行として労働契約の一内容となっていたものということができる。
原告らは、「定年」と俗称されていた満57歳までの期間については、更新期間満了後も引き続き雇用されることに対して客観的合理的期待を有していたと認めることができるが、…
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