エキスパートスタッフ事件(東京地判平9・11・11) 合意退職に付帯した就職斡旋条項の履行は? 就職先の紹介で足りる
1998.09.07
【判決日:1997.11.11】
同程度かそれ以上の労働条件が必要
筆者:弁護士 中山 慈夫(経営法曹会議)
事案の概要
平成8年5月、派遣会社はXとの間で、Xを派遣先の解説記事に関する校閲業務に従事させることを内容とする次の労働契約を締結した。
▽派遣期間
平成8年6月3日から同年11月末日まで
▽派遣就業をする日
月曜日から金曜日
▽派遣就業の開始及び終了の時刻
正午から午後6時まで
▽時給
1700円
▽賃金支払期日
毎月末締め翌月10日払い
ところが、派遣開始後1カ月もたたないうちに、派遣先からXの勤務態度につき苦情が出され、Xを交替してほしい旨の申し入れがあった。これを受けて派遣会社とXとの間で交渉が行われた結果、平成8年7月30日派遣会社とXとは次の合意をした。
①7月末日をもって労働契約を解約する
②派遣会社はXに対し8月1日から8月31日までの間の賃金相当額を支払う
③派遣会社はXに対し、9月1日から11月30日までの間、新たな就職先を紹介し、Xの生活の保障を確約する(以下「本件合意」という)。
Xは派遣会社に対して、③の就職先を紹介する債務を履行しなかったとして、3カ月間の賃金相当額136万3000円及び慰謝料70万円等を請求した事案である。
判決のポイント
1、派遣会社は、本件合意において、Xに対し、…
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平成10年9月7日第2215号12面 掲載