共同輸送事件(大阪地判平9・12・24) 長距離手当等で割増賃金を支払ったといえるか 明確に峻別できればよい
1998.09.14
【判決日:1997.12.24】
定額払いも打切制でない限りは適法
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
一般区域貨物自動車運送事業等を業とするK社は、Aら従業員に対して、就業規則に基づいて、基本給、役職手当、住宅手当、技能手当、調整手当および時間外手当を支給していたほかに、ローリー専属手当を月額1万5000円、出勤手当を1日当たり1000円、売上手当を運賃収入の一定割合の額、長距離手当を1回あたり3000円、保障手当を月額5000円ないし1万円、燐酸ローリーダブル手当を1回当たり3000円、の6種類の就業(賃金)規則にない手当を支給していた。
Aらは、就業規則に基づく諸手当の額を割増賃金算定の基礎として算定された時間外労働に対する割増賃金の額には未払いがあるとして、未払いの時間外および深夜の割増賃金の支払いを求めて、本訴を提起したものである。
判決のポイント
本判決の争点は次の3点である。
1、K社がAらに対して支給していた手当の内、長距離手当、保障手当および燐酸ローリーダブル手当の支払いについて、労基法37条所定の割増賃金の支払いがなされたといえるか。
2、割増賃金の算定の基礎となる賃金にAらが主張する「調整手当」が含まれるか。
3、Aらが主張する深夜労働時間数のうち、目的地でとる一定時間の仮眠時間がAらの深夜労働時間と認められるか。
本判決は、1の点に関し、次のように判示した。…
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平成10年9月14日第2216号12面 掲載