時事通信社事件(東京地判平10・4・30) 時季変更権行使を無視し欠務した者を懲戒解雇 “諸事情”から相当と認める

1998.09.21 【判決日:1998.04.30】
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繰り返すおそれや職務の怠慢を重視

筆者:弁護士 畑 守人(経営法曹会議)

 被告(新聞社等にニュースを提供する通信社)の本社編集局社会部に勤務する原告は、平成4年7月17日、社会部長に対し、7月27日から8月28日までの休暇届(ただし、年休日数は27日)を提出して、年休の時季指定をした。社会部長は最初の2週間の休暇は認めるが、残りは9月にでもとって欲しいと回答した。原告は、被告の意向には沿えないとの態度を一貫してとり続けた。そこで、総務局長は文書で、7月27日から8月9日までの休暇は認めるが、8月10日から同月28日までの期間中の勤務を要する日に係る時季指定は業務の正常な運営を妨げるものであるとして、時季変更権を行使し、当該日に就業するよう命じた。しかし、原告は、被告の就業命令を無視して8月10日から24日までの勤務を要する日12日間について業務命令に違反して就業しなかった。

 被告は、9月9日、原告の行為が社員懲戒規程の戒告、譴責、減俸及び出勤停止の事由である「職務上、上長の指示命令に違反したとき」に該当し、社員懲戒規程の懲戒解雇事由である「再三の懲戒にもかかわらず改心の情がないとき」及び「前条に該当する行為でも特に悪質と認められたとき、もしくは会社に与えた損害が大なるとき」に該当すること、また原告は最近きわめて職務怠慢であり、これも社員懲戒規程の懲戒解雇事由に該当するとして、原告を懲戒解雇した。

 原告は右懲戒解雇が無効であると主張して、被告との労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び賃金の支払いを求めたが、東京地裁は原告の主張を棄却した。

判決のポイント

 社会部内において原告の担当職務を…

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平成10年9月21日第2217号12面 掲載
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