日本貨物鉄道事件(大阪地労委命令平9・12・4) 労働委員会への組合側証人出頭に無給扱いは? 会社側のみ有給は片手落ち
「命令」に説得力欠くとの異論も
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、貨物鉄道事業等を営む会社が、①国労所属の申立人を運転士から車両技術係に職名変更し関連事業室で関連補助業務に従事することを命じたこと②平成3年年末、同4年から7年の各年末、夏季手当における減額措置③平成4年度、同5年度及び同7年度の各定期昇給における減額措置④労働委員会への証人出頭に関する無給扱いがいずれも不当労働行為であるとして、申立人が大阪地労委へ申し立てた事件である。
命令のポイント
運転士から車両技術係への職名変更は、本人に運転技量上の問題があり1人乗務不適格と会社が判定したことは相当であり、職名変更後の関連事業室の業務へ従事させた点についても、構内業務担当時の本人の技量に問題があったこと、国労以外の者も配属させていたこと等に照らして合理的な理由があり不当労働行為は認められない。
平成3年末ないし同7年夏季各手当の減額措置は、いずれも申立人が就業規則等の服務上遵守すべき事項に反し、または業務上の指示に従わない言動を反復したこと等によるものであり会社が申立人の勤務態度について「勤務成績が良好でない」と判断したことは相当であり、会社に不当労働行為は成立しない。
平成4年度、同5年度及び同7年度の各定期昇給における減額措置も、各調査期間において勤務成績が良好でないと認められるから、会社が申立人を昇給欠格条項である「勤務成績がとくに良好でない者」に該当すると判断したことは相当であり、不当労働行為は認められない。
平成6年6月16日の申立人の当委員会への出頭は、…
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