中央労基署長(松原工業所)事件(東京地判平10・5・27) 内縁関係のA子に遺族補償給付の受給権は…? 「事実上の婚姻関係」認める

1998.10.12 【判決日:1998.05.27】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

必ずしも必要ない 法律婚解消の合意

筆者:弁護士 安西 愈

事案の概要

 本件は、本妻B子(子供あり)と別居している亡夫Cと26年間内縁関係にあったA子が、被告(中央労働基準監督署長)のなした遺族補償給付の不支給処分の取消しを求めたものである。B子の方は夫の多額の債務を承継できなかったことから夫の死後相続を放棄し、また、夫が高血圧で生命保険にも加入できないと聞いていたことから労働者災害補償保険法に基づく請求をしていなかった。したがって、B子が請求した場合は結論が異なったかも知れない。

判決のポイント

 本判決は、次のとおり基本的な考え方を判示し事実関係についての判断を示した。すなわち、「労働者災害補償保険法16条の2第1項は、遺族補償年金を受けることができる遺族につき、民法の相続の規定にゆだねることなく、自ら受給権者の範囲及びその順位を規定している。しかも、同条1項は、受給権者の要件として『労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたもの』と規定している。このような規定内容と、労働者の死亡によって失われた同人に扶養されていた家族の被扶養利益を補てんすることを目的とする同条の趣旨とに照らして考えると、同条にいう配偶者とは、原則として、婚姻の届出をした者を意味するが、体を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みのないとき、すなわち、事実上の離婚状態にある場合には婚姻の届出をした者であってももはや同条にいう配偶者には当たらず、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成10年10月12日第2220号12面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。