協栄テックス事件(盛岡地判平10・4・24) 正社員の定年年齢とパートの契約更新との関係は 認められる更新の拒絶
定年後再雇用などの制度があれば別
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
X1、X2は、Y会社にパートタイマーとして雇用された。その際、雇用期間について明確な説明はなく、後日、雇用期間を1年間とする雇用契約書に署名捺印し、X1についてはその後6回更新されていた。
Y会社が、医大病院から請け負った配膳・下膳などの業務は、契約期間が1年に限定され、期間満了の都度、新たな競争入札により契約する仕組みとなっていたため業務量が恒常的に一定しておらず、1年毎に業務量に多寡を生じ、少ないときは雇用調整を図る必要があり、X1、X2らもその仕組みについては概ね理解していた。
ところで、Y会社の従業員Zは、平成6年6月頃、労働組合に加入するとともに、X1、X2ら4名をも右組合に加入させた。Y会社は、平成6年11月頃から、月1回、パートタイム従業員を集めミーティングを開き、仕事上の指示・注意をするほか、パートタイム従業員の雇用契約が1年契約であることを説明するようになり、平成7年3月11日のミーティングにおいて、X1、X2ら5名に対し、同年4月10日を以って雇用期間が終了する旨の通知書を手交し契約の更新を行わなかった。しかし、組合員ではなかったAについては、同年5月から再雇用している。
X1、X2は、①本件労働契約は、期間の定のない労働契約あるいは、実質的には期間の定のない労働契約と同視できるので解雇ないし解雇法理が類推されるべきである。②人員整理の必要がないことから、本件更新拒絶は権利濫用であり、またX1、X2らが労働組合へ加入したことを嫌悪してなされたものであり、不当労働行為として無効であるとして、労働契約上の地位確認及び未払賃金の支払いを求めた。
これに対し、Y会社は、60歳定年制が採用されていたので、仮にX1、X2との間に労働契約上の地位が存在したとしても、X1、X2らが満60歳に達した日の翌日を以って労働者の地位を失っていると主張した。
判決のポイント
X1、X2は、…
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