エヌ・ティ・ティ・テレホンアシスト事件(大阪地判平10・5・29) 雇用契約更新前の勤務態度等を理由に解雇は 正当な理由あれば有効
事実の丹念な記録と立証がものいう
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は、電話番号の案内業務、電話による注文受付の代行業務等を営業しているが、Xは、平成6年6月、電話番号の問合わせに対応するオペレーター業務に従事するパートタイム従業員としてY社に雇用され、その後、雇用契約は何度か更新され、平成8年8月1日には、その契約期間を、平成9年1月31日までとして、更新された。
しかるに、右雇用期間中である平成8年12月4日、Y社は、Xが顧客とのトラブルを生じさせ、Y社において厳しく禁止しているオペレーターの側から回線を切断する行為に出たこと等を理由として、同月10日付けでXを解雇した。これに対し、Xは、右解雇を無効として、解雇無効の確認並びに未払賃金の支払いを求めて提訴した。
判決のポイント
Xは、平成8年8月1日に雇用契約を更新されているのであるから、Y社の主張する雇用契約を更新する前の事情は、本件解雇の正当性を基礎付ける事実とはなり得ない旨主張する。確かに、Y社が、Xのそれまでの勤務態度等を確認したうえで雇用契約を更新したのであるから、それ以前の事実そのものを解雇理由とすることは許されないといわなければならない。
しかしながら、本件のように短期の雇用契約の更新が続けられていた場合において、雇用契約更新後に行われた就業規則違反行為を理由とする解雇の有効性を判断するに際し、雇用契約更新前の勤務態度等を考慮することは、もとより許されるというべきであるから、Xの主張は理由がない。
応用と見直し
本件は、パートタイマーの…
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