代々木ゼミナール事件(東京地判平7・6・19) 半日年休での組合活動に欠勤扱いは 利用目的制限できずダメ
就業規則等で明確に定めれば別
筆者:弁護士 中山 慈夫(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、半日の年次有給休暇(半日年休)を使用者が事後に不承認とし、半日欠勤扱いとしたために、その是非が争われた事案である。
A学園では、就業規則上1日単位の年休規定はあったが、半日年休を認める旨の明文規定はなかった。しかし、昭和40年頃から職員にとって便宜であるとの理由から半日年休を認めており、半日年休を取得した場合は、就業規則所定の年休日数から0.5日分を減ずる取り扱いをしてきた。
学園の職員5名(労働組合の役員と組合員)は、平成5年12月18日午前11時30分頃、所属長に対して同日午後の半日年休を請求し、所属長は時季変更権を行使しなかったところ、同日午後、右5名は他所で組合活動等を行った。このため、学園は平成6年10月25日、右5名の半日年休を年休の目的趣旨に反するものとして半日欠勤扱いとし、皆勤手当及び夏季賞与についても減額した。そこで、半日年休が有効に成立したか否かが主な争点とされたものである。
判決のポイント
労働基準法上の年休は最低分割単位を一労働日としており、半日に分割して与えることを予定していないものと解されるが、有給休暇制度の目的は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図ることにあり、半日年休は、右目的を達成するのに、労使双方にとって便宜かつ合目的的であることから、同法は、同条の規定文言にかかわらず、使用者が進んで半日年休を付与する取り扱いをすることをなんら妨げるものではないと解するのが相当である。
学園における半日年休制度は、既に確立した労働慣行となっていると認められ、…
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