大輝交通事件(東京地判平7・10・4) 多数組合との“協定”の一般的拘束力は “不利益”では合理性ない
1996.02.05
【判決日:1995.10.04】
実務的には拡張適用否定説で固まる
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
Y会社はタクシー事業を営む会社であり、XらはY会社のタクシー乗務員であり、少数組合であるA労働組合の組合員である。
A組合とY会社は、平成2年11月27日付賃金(一時金を含む)協定(旧協定という)を締結していた。その後、Y会社は、タクシー運賃改定と共に、A組合とは別の多数組合であるB組合との間で平成4年7月20日付賃金協定(新協定という)を締結したが、A組合とは新たな賃金協定は締結しなかった。新協定と旧協定では、一時金の算定方法が一部異なり、Xらでは一時金の支給額が具体的には最高で6万5826円、最低で1万円余の差額が生ずる。Xらは、右差額を求めて提訴に及んだ。
裁判では新協定がXらに適用されるか否かが主たる争点であり、Y会社は、①B組合と締結した新協定は労組法17条に定める一般的拘束力を有する②新協定に則っての就業規則変更は必要性一合理性があって有効であると主張した。
判決のポイント
B組合の締結した内容の労働条件を一般的拘束力として及ぼすことは、…
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平成8年2月5日第2091号10面 掲載