バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件(東京地判平7・12・4) 課長職不適当として降格、業務も変更 受付担当は人格権の侵害
「退職に追いやる意図あり」と判断
筆者:弁護士 畑 守人(経営法曹会議)
事案の概要
銀行業を目的とする被告は、営業成績が悪化したため、積極的経営の展開とオペレーション部門(業務部)の体質強化を図ることが急務となり、原告らオペレーション部門の四課長に、管理職務の確認及び将来の計画についての報告書を提出するよう要請したが、四課長のうち原告を含む三課長は、報告書を提出しなかった。
昭和57年4月、原告は、課長職のセクションチーフから一般職と同等のオペレーションズテクニシャンに降格され、役職手当が4万2000円から3万7000円に減額された。また被告は、原告と同様、管理職として不適当と判断した7名を本人の同意を得て降格させた。原告は、かねて総務課への配転を希望していたところ、被告は、昭和61年2月、原告を総務課に配転し、それまで20歳代前半の契約社員が担当していた受付業務を担当させた。
原告は、オペレーションズテクニシャンへの降格、受付配転は、原告ら中高年管理職を退職に追い込む意図をもってなされた不法行為であるとして、5000万円の慰謝料の支払いを求めたのが本訴であり、裁判所は、オペレーションズテクニシャンへの降格は違法ではないが、受付業務を担当させたことは、原告の人格権を侵害する違法なもので不法行為にあたるとして、被告に対し100万円の慰謝料の支払いを命じた。
判決のポイント
使用者が有する採用、配置、昇格、降格、解雇等の人事権の行使は、…
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