東海旅客鉄道事件(東京地判平7・12・14) 組合バッジ着用に夏季手当の減額は? 不当労働行為に当たらない ★
施設内着用を禁じた就業規則に違反
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
国鉄労働組合は、組合員75名が就業時間中に組合バッジを着用していたことに対し、会社が行った厳重注意、夏季手当の減額支給、賃金規定の「昇給欠格条項」該当者としての取り扱いは不当労働行為であるとして、東京地労委に救済を申立てた。東京地労委が救済を命じたため、会社がこれを不服として命令の取り消しを求めて行政訴訟を提起した。
判決のポイント
本件就業規則3条は、社員の法令等の遵守義務及び職務遂行義務を定めているから、社員はこれらの義務を就業規則上負っていることとなる。また、本件就業規則20条は社員の服装の整装について定め、この3項は社員の勤務時間中の又は原告施設内での原告の認める以外の胸章、腕章等の着用を禁じているところ、同条の解釈として、同条の禁止対象となるのは右胸章等の着用によって職場規律の紊乱又は業務阻害が現実に発生する場合あるいはこの具体的な発生のおそれのある場合に限られるとの解釈をすることは相当ではなく、右胸章等の着用自体がこのような発生のおそれのある場合であるとしてこれらを例示的に列挙して禁じているものと解するべきである。本件就業規則23条は、社員に対し原告が許可した以外の勤務時間中の又は原告施設内での組合活動を禁じているところ……正当でない組合活動は勿論のこと、正当な組合活動も同条の禁じるところと解するべきである。
そうすると、本件組合員等の本件組合バッヂ着用行為は、…
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