中国自動車学校事件(広島地判平8・4・11) 「必要な適格性欠く」を理由の解雇は? 「職務遂行に支障」と判断
1996.06.03
【判決日:1996.04.11】
一連の行動、態度、経歴や性格も考慮
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
Xは昭和55年、指定自動車教習所の経営等を行うY会社に自動車運転の技能指導員として雇用された。Xは平成4年7月、教習原簿にA元指導員の教習印を過って押し、すぐに訂正したものの、B課長の「なぜAの教習印を持ち歩くのか」の問に、椅子から立ち上がり、B課長の頭上から大声で、「自分は持ち歩いていない。机の中に入れている」と反論、自己の非を認めなかった。YはXの弁明を求めたが、謝罪したと強弁するなど、自己を正当化するためB課長に責任を転嫁しようとした。Yは常務会において、Xの解雇もやむを得ない旨決定し、Xに対し退職を勧告したが、Xが従わなかったことから、平成4年8月、Yの就業規則25条2号「その職に必要な技術並びにその職に必要な適格性を欠く場合」に該当することを理由に、Xを解雇した。Xは、本解雇が無効であるとして提訴した。
判決のポイント
本件解雇の効力について、①就業規則25条2号の解雇事由の有無、②解雇権の濫用にあたるか、③不当労働行為といえるか、の3点が争われた。本判決はおよそ次のように判示して、本件解雇は有効であるとし、Xの主張をいずれも棄却した。
①解雇事由の有無
Y会社は、就業規則25条2号において、…
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平成8年6月3日第2107号10面 掲載