朝日火災海上保険事件(最三小判平8・3・26) 非組合員に対する労働協約の拘束力? “著しい不利益”は及ばない ★

1996.06.10 【判決日:1996.03.26】
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有利原則の適用 原則として否定

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 原告は、満63歳を定年とするA会社に勤務していたが、業務をY会社が引き継ぐに伴い、Y会社に雇用された。引き継がれた労働者に対しては、当面満63歳の定年等を定めた就業規則、労働協約等の効力が維持され、順次Y会社の労働条件と統一されていった。

 そして、Y会社と、引き継いだ労働者も加入する労働組合との間で、昭和58年7月11日新労働協約が締結され、就業規則も変更されたが、その内容は定年が57歳とされ、満57歳以上のものは満62歳まで特別社員として再雇用されるが、給与は60%に減額され、退職金支給率も減額された。

 原告は、非組合員であったが、昭和58年4月1日現在、満57歳に達していたため、5月分から特別社員としての給与のみ支給され、退職金も減額され、変更前の金額より157万円余りの差が生じた。そこで原告は、新労働協約は非組合員たる原告に適用がなく、就業規則の変更も無効として、減額給与分や退職金差額分の支払い等を求めて提訴に及んだ。

判決のポイント

 1、労働協約等の効力が生じたのが、昭和58年7月11日であり、原告に対して4月1日から右協約の遡及適用をすることはそもそもゆるされない。

 2、未組織の同種労働者が協約基準より有利な労働条件である場合も、…

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平成8年6月10日第2108号10面 掲載
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