損害賠償請求事件(最一小判令2・7・9) 交通事故で障害負う、賠償金毎月受け取りたい 一時金でなく定期払い命ず ★
2021.03.04
【判決日:2020.07.09】
交通事故で脳挫傷を負った子の両親が、保険会社らに月1回の定期的な損害賠償の支払いを求めた事案の上告審。一時金の場合は利息控除の減額があった。最高裁は、損害の実態に即した公平な賠償を実現する観点から相当と認められる場合に、逸失利益は定期払いの対象になると判示。後遺障害の程度など事情が著しく変化したときは、損害額のかい離を是正するための訴えも可能としている。
損害を公平に分担 利息分の減額回避
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
被害者X(当時4歳)は、Y1の運転する大型貨物自動車による事故により脳挫傷等の障害を負い、高次脳機能障害の後遺障害が残り、労働能力を全部喪失した。Xは、Y1、車輌の保有者Y2および保険会社Y3に対し、後遺障害による逸失利益について、就労可能期間の始期である18歳になる月の翌月から終期である67歳になる月までの間の損害について、一時金による賠償金の支払いではなく、定期金として支払うことを求めて提訴した。
原審(札幌高判平30・6・29)は、定期金賠償を認めるのが相当であるとし、これを不服としてYらは上告した。
判決のポイント
1 定期金賠償の請求の可否
同一の事故により生じた同一の身体傷害を理由とする不法行為に基づく損害賠償債務は…
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令和3年3月8日第3296号14面 掲載