関西フェルトファブリック事件(大阪地決平8・3・15) 部下の横領行為に監督不行届で懲戒解雇? 解雇の正当性を認める
1996.09.09
【判決日:1996.03.15】
横領と知りつつ事実上加担した
筆者:弁護士 安西 愈
事案の概要
本件は、営業所長であった労働者が、部下の経理担当者Aが会社の金員を横領したかも知れないと知りつつ、同人が着服した金員で長期かつ多数回にわたり飲食をともにした行為は、横領もしくはこれに準ずる行為であり、これは就業規則の懲戒処分に該当し、また、同人が監督者としての義務を怠ったためにAの横領行為を助長し、発覚を遅延させて会社に多額の損害を負わせたものであり、右行為も就業規則の懲戒処分に該当するとして、給与1力月分及び解雇予告手当を支払って懲戒解雇にしたものである。
これに対して、本人は、部下の本件横領行為を知らなかったし、営業所における従前から行われていた所長としての経理監督業務を行っていたに過ぎず、監督責任について重大な義務懈怠はないとし、会社の本件懲戒処分は厳格すぎるとして争い、さらに本人は会社から給与と予告手当を、被害弁償として貰うと言われた意味が分からないまま従ったものであり、右行為は賃金の相殺禁止に準じて許されない行為であって、予告手当を支払ったことにはならないと主張した。
決定のポイント
本件は仮処分の決定であるが、裁判所は、…
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平成8年9月9日第2120号10面 掲載