駸々堂事件(大阪地判平8・5・20) 病欠続いた契約社員を期間満了で雇止め 解雇権濫用で無効と判断
1996.10.07
【判決日:1996.05.20】
契約を終了させる経営上の理由ない
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、昭和58年11月16日、Y社との間で期間の定めのない雇用契約を締結したが、平成4年11月24日、雇用期間を同年12月1日から平成5年5月31日までの6ヵ月間とするなどの新社員契約を締結した。右新契約は、前同日にその期間が満了したが、Y社は、Xとの間で新たな契約書の作成など格別の手続きをせずに、右契約を更新し、その契約期間を同年6月1日から同年11月30日までと約定した。
Xは、心不全等のため同年9月9日から同年11月30日まで欠勤したところ、Y社は、同日限りXとの雇用契約が期間満了により消滅した旨の通知書をXに発送し、右通知書は同年12月1日に到達した。これに対しXは、雇用契約の終了の意思表示は解雇権の濫用により無効であるとして、労働契約上の地位の確認等を求めて提訴した(その余の争点は省略)。
判決のポイント
新社員契約は、6カ月という期間が約定されているとはいえ、X、Y社も、労働力の過剰による経営上の必要などその契約を終了させるべき事由が発生しない限り、右契約が継続することを予定していたものであり、当事者双方とも、いずれかから格別の意思表示がなければ、当然更新されるべき労働契約を締結する意思であったものと解するのが相当である。
したがって、このような新社員契約を終了させるY社の右雇止めの意思表示は、…
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平成8年10月7日第2123号10面 掲載