眞壁組事件(大阪地判平8・5・27) 団交拒否に組合が取引先への搬入阻止行動 会社の差止め請求認める

1996.11.18 【判決日:1996.05.27】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

運送の委託契約で団交応諾義務ない

筆者:弁護士 安西 愈

事案の概要

 本件は、労働組合(被告)がミキサー運転手の労働条件の改善を図るべく、生コン運送に関する業務委託契約の相手方たる訴外S社、生コン製造会社である訴外N社および生コンを購入して販売等を営む原告会社らに対して、団体交渉を申し入れたが拒否されたことから、原告会社の取引先に対して行った要請書の配布、生コンの搬入阻止等の行為および、原告会社の代表取締役、その妻および姉ら(いずれも原告)に対して行った街頭宣伝活動等の行為につき、損害賠償請求および差止め請求を求め、使用者が労働組合を訴えたという事案である。

 判決は、右請求を認容し、原告ら個人に対する生活の平穏を妨害する行為の禁止(差止め)、原告会社に対する損害賠償、原告ら個人に対する慰謝料の請求を、それぞれ認めた。

判決のポイント

 判決は、被告組合の一連の行為をいずれも違法としたうえで、右各行為の「違法性阻却事由の有無」を判断しているが、争点となったのは、原告会社と訴外各社が業務面のみならず人的・物的側面において密接な関係を有するという事実関係のなかで、原告会社がミキサー運転手との関係において労組法7条の「使用者」性を有するか否かという点であった。判決は①原告会社と訴外生コン製造会社3社の関係、②訴外生コン運送会社S社と、原告会社および訴外生コン製造会社3社との関係、③本件紛争を巡る被告組合と原告会社らとの協議に関する事実関係の3点について検討を加えているが、結局、訴外S社の法人格の形骸化または濫用の事実は認められず、また、原告会社はミキサー運転手らの労働条件決定につき、「具体的、実質的な支配カ」を及ぼしていないなどとして、原告会社のミキサー運転手に対する「使用者」性を否定した。

 「原告会社が、被告の組合員との関係において、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成8年11月18日第2129号10面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。