東海旅客鉄道事件(大阪地決平6・8・10) “片道出向”に個別合意必要か 「包括的合意」の主張はムリ
1995.01.23
【判決日:1994.08.10】
就業規則の定めでは復職が前提
筆者:弁護士 宮本 光雄(経営法曹会議)
事案の概要
会社の就業規則には、出向の根拠規定と出向規定があるが、これとは別に、会社と組合は、60歳定年実施に関する協定を締結した。これによれば、定年は60歳とするが、満54歳以降の人事運用については、原則として出向するものとする旨定められている。
会社は、右協定に基づきAないしCに出向を命じたが、いずれも個別の合意がないこと、人事権の濫用であることなどを理由に出向命令の効力停止の仮処分を申請した。
決定のポイント
1 会社は、就業規則の出向に関する定めにより、AないしCは出向を包括的に合意した旨主張するが、本件出向は復職を前提としない出向であるから、就業規則の定める出向の定めによりAないしCが本件出向についてまで包括的に合意したということはできない。
2 本件出向協定の規範的効力によりAないしCは本件出向の義務がある。
3 労働者が出向の義務を負う場合であっても、…
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平成7年1月23日第2041号10面 掲載