敬愛学園事件(最一小判平6・9・8) 学校を中傷し週刊誌に情報提供 解雇は権利濫用に当たらず
1995.02.13
【判決日:1994.09.08】
校長の名誉と信用を傷つけた
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被上告人Aは、上告人学園が設置する高校に昭和41年以来教諭として雇用されていたが、学園は、昭和62年2月、Aをテストの実施方法等につき学園の運営・教育方針に反発するものとして解雇した(第一次解雇)。
これに対し、Aは地位保全等の仮処分を申請し、認容された。これと前後してAは、弁護士会に対し校長の「不正行為」等に関する糾弾の文書を送付し、その内容が週刊誌に報道された。学園側は昭和63年3月、第一次解雇の意思表示を撤回し、改めて就業規則所定の解雇事由に当たるとしてAを予告解雇した。本件は、この第二次解雇に関するものである。
判決のポイント
被上告人は、文書一ないし三により、上告人の学校教育及び学校運営の根幹にかかわる事項につき、虚偽の事実を織り混ぜ、又は事実を誇張わい曲して、上告人及び校長を非難攻撃し、全体としてこれを中傷ひぼうしたものといわざるを得ない。さらに、被上告人の「週刊アキタ」誌の記者に対する文書一及び二の情報提供行為は、前示のような問題のある情報が同誌の記事として社会一般に広く流布されることを予見ないし意図してされたものとみるべきである。以上のような被上告人の行為は、…
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平成7年2月13日第2044号10面 掲載