トーコロ事件(東京地判平6・10・25) 36協定の当事者に親睦会の会長 自主的団体と認めがたい ★

1995.02.27 【判決日:1994.10.25】
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残業拒否での普通解雇が無効に

筆者:弁護士 中山 慈夫(経営法曹会議)

事案の概要

 会社では時間外労働に関する労使協定(労基法36条、いわゆる「36協定」)を締結し労基署長に届け出ていたが、従業員Xは残業拒否や会社の指示に反する態度をとった。このため、会社は①Xが時間外労働の全面中止を主張し、自ら残業拒否をもって反抗したこと②労基法違反の残業その他誇大に会社を中傷・誹謗したこと等を理由としてXを普通解雇とした。

 本件は、勤務態度不良を理由とする解雇事件の一類型であるが、ここでは右解雇の是非と直接関係する争点となった36協定の作成手続問題を取り上げる。

判決のポイント

 会社の残業延長要請及び本件残業命令が適法になされたものであるかどうかについてみると、会社においては「友の会」の会長である従業員Aが「労働者の過半数を代表する者」として署名・捺印した本件36協定が作成され、労働基準監督署長に届け出されている。しかし、「友の会」は会社の役員を含めた全従業員によって構成され、その規約によれば「会員相互の親睦と生活の向上、福利の増進を図り、融和団結の実をあげる」ことを目的とする親睦団体であって、労働者の自主的団体とは認めがたい。また、「友の会」の役員は会員の選挙によって選出されるが、右選挙をもって36協定を締結する労働者代表を選出する手続と認めることもできない。従って、本件36協定は親睦団体の代表者が自動的に労働者代表となって締結されたものというほかなく、作成手続において適法・有効なものとはいいがたい。

 そうすると、本件36協定が無効である以上、Xに時間外労働をする義務はなく、Xが残業を拒否し、あるいは残業を中止すべき旨の主張をしたからといって、解雇事由に当たるとすることはできない。

 その他、会社主張の解雇理由は存在せず、Xの解雇は無効である。

応用と見直し

 本判決の注目すべき点は、…

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平成7年2月27日第2046号10面 掲載
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