O・S・I事件(東京地判令2・2・4) 2週間出勤しなかったと就業規則の自然退職に 「行方不明」とはいえず無効
14日以上連絡が取れず行方不明として、就業規則の自然退職扱いされた従業員が地位確認を求めた。東京地裁は、懲戒解雇事由と別個に設けられた自然退職の趣旨を「出勤を命じたり、解雇の通知や意思表示をする通常の手段が全くない」場合に備えたものと判断。従業員からは休職申出のメールが送信されるなど会社が解雇等の意思表示をすることも不可能といえず、退職扱いを無効とした。
メールで連絡可能 雇用契約継続する
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Yは、従事する業務は機能訓練指導員、基本給を23万円等との約定でXを雇用し、翌年には、基本給23万円、機能訓練指導員手当1万円の合計24万円に変更する旨の合意をした。その後、Yは、Xがセクハラ等をしたとして、業務を介護職員に変更するとともに、基本給を18万円のみとする雇用契約書に署名捺印を求め、Xはこれに署名捺印をしてYに提出した。
その後、Yは、Xが行方不明となり連絡が取れなかったことにより退職したものとみなされたとしてXの就労を拒んだ。そこで、Xは、雇用契約に基づき、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた事案である。
本判決は、Xの地位確認請求を認めた(一部認容)。
なお、Yの就業規則に、退職について、「従業員の行方が不明となり、14日以上連絡が取れないときで、解雇手続を取らない場合には退職とし、14日を経過した日を退職の日とする」との定め(以下「本件退職条項」)および正当な理由なく欠勤が14日以上に及び、出勤の督促に応じないまたは連絡が取れないことを懲戒解雇事由とする定めがある。
本件の争点は多岐にわたるが、一定期間の行方不明であることを退職事由とする本件退職条項により、退職の効力が生じたか否かについて紹介する。
判決のポイント
Yの就業規則中には、本件退職条項のほか、従業員について、正当な理由なく欠勤が14日以上に及び、出勤の督促に応じない又は連絡が取れないことを懲戒解雇事由とする規定がある…。そして、Yの就業規則中にあえて上記規定と別個に設けられた本件退職条項の趣旨は、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら