朝日放送事件(最判平7・2・28) 派遣先に労働条件等で団交要求 部分的な応諾義務認める ★
1995.06.05
【判決日:1995.02.28】
使用、従属と決定力を満たせば
筆者:弁護士 宮本 光雄(経営法曹会議)
事案の概要
被上告人会社は、請負三社との間でテレビの番組制作の業務に関して請負契約を締結し、請負各社はその従業員を派遣して業務を処理していた。請負料は作業内容及び派遣人員により決められていた。
番組制作に当たっては、被上告人会社は、毎月、1カ月間の番組制作の順序を示す編成日程表を作成して3社に交付し、派遣従業員はこれに従って作業をするほか被上告人会社のディレクターの指揮監督のもとに作業を行っていたし、予定時間の変更、休憩時間についてもディレクターの指示に従っていた。
派遣従業員が加盟する組合は、被上告人会社に対し、賃上げ、夏季一時金、社員化、休憩室の設置など労働条件の改善等を求めて団体交渉を要求していたが、被上告人会社が使用者ではないとの理由からこれを断っていた。
判決のポイント
1 労組法7条の「使用者」とは、一般に労働契約上の雇用主をいうのであるが、雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、右事業主は同条の「使用者」にあたるものと解するのが相当である。
2 本件においては、被上告人会社は、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
平成7年6月5日第2059号10面 掲載