大東設備工業事件(東京地判平6・8・8) 定年後の新規採用者と再雇用制度 定めによる期間満了で終了
採用時点で適用の有無の確認を
筆者:弁護士 安西 愈
事案の概要
原告は昭和59年、ボイラーマン(2級ボイラー技師の有資格者)として、被告会社に62歳の時に雇用期間は1年として雇用されたが、期間の更新により継続雇用されてきた。
原告は、「1、雇用契約においては、原告がボイラーマンとしての資格を有し、かつ、健康で事故等のない限り、年齢に制限なく雇用を継続する旨の合意がなされたものであり、同契約は、終身的契約である。
2、ところが、被告会社は、平成5年3月12日、原告に対し、原告を解雇する旨の意思表示をし、以後、原告との雇用継続関係の存在を争っている。
3、被告会社は、原告と同年輩又は原告よりも年長の者の雇用を継続しているにもかかわらず、かつ、原告が外国人であることを理由として、右解雇をなしたものである。したがって、右解雇は原告に対する差別的取扱いであり、労働基準法3条に違反し、無効である」と主張した。
これに対し被告は、「被告会社の就業規則では、社員の定年は満60歳と定めているが、勤務成績が良好な者については1年ごとの再雇用により満70歳まで(特に指定した者は除く)準社員とする制度をとっている。
原告は70歳に達した平成4年3月13日に再雇用期間が満了により退職となるはずであったが、被告会社は恩情により特に1年間だけ期間を延長し、さらに同年4月30日まで期間を延長したものである。よって、原告は、右期間満了により退職となったものである」と主張した。
判決のポイント
本件ではまず新規採用された時点で既に定年60歳を超えていたものであって、原告には被告会社のいう就業規則の再雇用既定の適用はないのかどうかが争われたが、判決は、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら