西部商事事件(福岡地小倉支判平6・4・19) どこまで有効?競業避止契約の効力 背信性の強い場合に限定
1995.07.24
【判決日:1994.04.19】
制約する場所、期間などで判断
筆者:弁護士 中町誠(経営法曹会議)
事案の概要
X会社は、手形割引、金銭消費貸借による貸付等の方法により金融業を営む株式会社であり、Yは約15年余にわたりX会社に勤務した。YとX会社はYの退社にあたり、(1)Yは、X会社の機密事項を厳守し、これを漏洩しないこと、(2)Yは、X会社を退職して3年間はX会社の事業と競合する同業他社に就職しないことを書面で約した。
Yは、X会社退職後運送業を営む会社に就職したが、4カ月余りで退職し、金融業を営むA会社に一営業員として入社し、営業活動を行うようになった。
X会社は、YがX会社の営業機密(顧客情報及び融資条件に関する情報)を不法に取得し「A会社は、X会社よりも割安な手形割引を行うので、A会社と取引しないか」等の勧誘を行って営業活動を行っているとして、(旧)不正競争防止法1条3項違反による差止請求及び前記秘密保持契約・競業避止契約違反による損害賠償請求並びに退職金返還請求(X会社の退職金規定では、退職金を受領した退職者について①会社の機密内容を漏らし、又は漏らそうとしたとき②退職後、在職中の不正が発覚したとき③退職後3年以内に同業他社に就職したときは、退職金全額を即時返還する旨定められていた)の裁判を提起した。
判決のポイント
①X会社の顧客に関する情報及び融資条件に関する情報は、…
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平成7年7月24日第2066号10面 掲載