大日本印刷事件(東京地労委命令平7・2・21) 企業の採用活動を妨害するビラ配布 逸脱行為で解雇は正当 ★
1995.08.28
【判決日:1995.02.21】
社会的体面や信用を不当に毀損
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
申立人らは、平成4年6月15日、早稲田大学の正門と南門付近で、約1時間にわたり、ビラ800枚を配布し、併せて宣伝メーカー備え付けのスピーカーで演説を行った。
そのビラには、「大日本印刷そこが知りたい(特)就職ガイダンス」との大見出しのもとに、「74年大卒定期採用・勤続18年40歳のAさんの賃金明細」「こんなこともあります。賃金明細に労働実績の印字がありません」「過労死しても遺族補償しない」「死活問題の賃金・昇格差別」「賃金は?」「気になる労働時間は?」「休暇を取ると賃金をマイナスに査定?」「定年退職まで単身赴任16年」「労働組合は?」「世間水準と比較してください」等と題する記事が掲載されていた。
平成4年7月1日から会社説明会が実施され、説明会参加者は全体で2753名で前年比307名増であったが、早稲田大学の学生は前年比54名減であった。
会社は、ビラ配布等に関与した従業員9名に対し、3名を解雇に、2名を出勤停止に、4名を減給に処した。
これに対し、申立人らは右解雇及び懲戒解雇処分が不当労働行為に当たると主張して救済を申し立てた。
命令のポイント
宣伝活動は、それが組合活動として行われる場合であっても、…
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平成7年8月28日第2070号10面 掲載